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振り向いてしまう山がある (2月14,15日)

バリローチェはパタゴニア地方と言っても、最北部であった。
十分美しいところなのだが、パタゴニアっぽくはないそうだ。
パタゴニアっぽいって何? パタゴニアの象徴って何?
“パタゴニア”のゲートシティ、エル・チャルテンまでは
ズバババッと延びるルート40を35時間南下せねばならない。
直行バスとしてはこの旅最長になる35時間の移動の後に…。

ルート40はまあ、こんな感じであった。特に感慨はないかな。
01エルチャルテン 02エルチャルテン 03エルチャルテン
エル・チャルテンは田舎町(村)であるが、建物が新しい村である。
観光地だ、とはっきりわかる。木目が美しいロッジが並んでいる。
ココも欧米人が多い。お目当てはもちろん、フィッツ・ロイだ。
『フィッツ・ロイ』はパタゴニア随一の美しい山のことである。

朝6時に到着するはずだったバスが1時間遅れる。
エル・チャルテン到着は7時。しかし、これは幸運であったのかも。
村へ向かうバスの中ぐっすり眠っていた僕が起きた時の、感動。
目の前にあったのは、赤い、赤い山。
朝日に照らされ、茜色に染まったフィッツ・ロイ、であった。
04エルチャルテン

到着したホステルは停電していたが、そんなことはどうでもいい。
今すぐ、フィッツ・ロイへ向かう予定なのだから。
夏でも天気が悪いことで有名なフィッツ・ロイでの、この天気。
僕はツイてる。現地の人もめったにないという雲ひとつない快晴。
宿の女性から2日間は大丈夫との太鼓判。タイミング抜群なのだ。
いくぞ、フィッツ・ロイ。パタゴニアトレッキングの第一歩だ。

トレッキングルートの入口。踏み出す前、どこか緊張感を感じる。
05エルチャルテン 06エルチャルテン
入口からはフィッツ・ロイが見えない。目の前にある、そり立つ壁。
遅い欧米人3人の横をするりと抜け、意気揚々と歩く。
森の中。少々寒い。横に流れる川が美しい。あの水もあの山から。
想像を膨らませつつ森を抜ける。フィッツ・ロイが顔を覗かせる。
07エルチャルテン 08エルチャルテン 09エルチャルテン
目の前の山がフィッツ・ロイの左半分を隠している。
その山を廻りこむように歩くと、少しずつ全貌が現れてくる。
カプリ湖畔。展望ポイント。湖の向こうにフィッツ・ロイが見える。
10エルチャルテン 11エルチャルテン 12エルチャルテン
13エルチャルテン 14エルチャルテン 15エルチャルテン
16エルチャルテン
午前中のためか湖に山は映っていない。湖面は青く揺れている。
湖の青と森の緑、向こうに見えるは雄大な肌色の山肌であった。
この国立公園は森も川も湖も美しい。すなわちトレッキングが楽しい。
17エルチャルテン 18エルチャルテン 19エルチャルテン
20エルチャルテン 21エルチャルテン
難易度も高くなく、道標も十分にある。迷いなし。完璧なり。
マドレ湖を過ぎ、歩くこと1時間20分弱。
最後の登りは砂地でありなかなかの傾斜だ。もう少し、もう少し。
最終目的地、トレス湖に到着。フィッツ・ロイ展望ポイントだ。
22エルチャルテン 23エルチャルテン
3峰が見事にそこに見える。湖があり、その向こうに座る岩山。
残念ながらフィッツ・ロイを登るにはクライミング技術が必要だ。
ココから見て左側の峰に登る人達にあったが、メインはどうか?
許可が下りるのだろうか? でも、登るより見る山だと思うのだ。
富士山と同じく。(富士市出身の僕はそう思っているので未到。)
湖を廻り込むようにして近づいてみる。でも湖の対岸が僕好み。
止まると冷えるので防寒を抜かりなく、湖畔に座って仰ぎ見る。
天気は言うことなしの快晴。まったく雲がない。
正確に言えば、たまに頂上辺りから、うす雲があがる。
24エルチャルテン 25エルチャルテン 26エルチャルテン
でも、それもすぐ消える。“エル・チャルテン”とは『煙』の意。
今日は暖をとる必要なし、炊事をするのみ、らしい。

いくら見ても飽きないのだ。あまりにもカッコイイのだ。
初めて見た気がしないのはなぜだろう。
世界一美しい山はペルー・ワラス近郊のアルパマヨ峰と言われる。
山岳誌アンケートではそうだろうが、僕はこっちの方が好きだ。
山の中の山。スペイン語でいえば、“エル・モンターニャ”。
英語でいえば、“ザ・マウンテン”。エッ?、ナニナニ…。
そうか、そういうわけか。“ゆでたまご世代”にはタマランわけだ。
柔道着を着せたくなる山。悪魔に思えなくもない山。
テキサス野郎に投げられたら、そりゃ自重に耐えられんだろう。
ジョークはさておき…
鋭く空を突く山ではなく、ドーンとそこにブッ座る山。
それが僕の心の奥底、幼い頃にインプットされた岩山の姿なのだ。

翌日の起床は、早朝5:30。もちろん真っ暗である。
他の客がうるさくて昨夜はあまり眠れていないが、出発する。
誰もいない道を歩く。昨日と同じ道筋だから迷うこともない。
ヘッドライトの光で足元を照らし、森を進む。
目的地に着いた。やはり寒い。次第に明らむ。赤らむ。
出発時の気温は3℃。日が差してきてから、1℃まで低下する。
歩いているうちに暑くなって外したマフラーをもう一度巻く。
見上げる。ココはミラドール。フィッツ・ロイの展望ポイントだ。
バスでエル・チャルテンに着いた時から決めていたこと。
『朝焼けに赤く染るフィッツ・ロイを絶好のポイントで見よう』と。
赤い光線がフィッツ・ロイに懸かってくる。てっぺんがチョコっと。
そしてグググっと。フィッツ・ロイが赤く染まっていく。
真っ赤なフィッツ・ロイ。フィッツ・ロイが、赤い。真赤い。
眠気と寒さを我慢して来たかいがあった。
テント泊の客もここにはいない。村泊の人たちも1人もいない。
僕の一人占めであった。
27エルチャルテン 28エルチャルテン 29エルチャルテン

朝日の後、セロ・トーレ方面へ向かうことにする。もう1つの見所。
マドレ湖分岐を曲がると森の中へ。
フィッツ・ロイは前の山に隠れる。しばしの別れ。
長い遊歩道を歩き、セロ・トーレ展望ポイントに到着。
30エルチャルテン 31エルチャルテン 32エルチャルテン
こちらは細くヒョロっと伸びた山で、女性的な印象だ。
そういえば、イースター島の女性のモアイを思い出す形である。
残念なのは湖も川も濁っていることであり、なにより、
フィッツ・ロイ観賞直後であるということである。
どうしても感動が薄まり、心も湖のように不透明になってしまうのだ。

村に帰る際、まだ見えるかなとフィッツ・ロイを振返った。
結構遠くからでも見えるのだ。振り返れば、いつも見えるのだ。
1日目は勿論。2日目もそう。フィッツ・ロイを振り返り続けた。
何度も何度も。何の気なしに。何故かわからないけど、無意識に。
夢枕獏さんの傑作山岳小説にこんな一節がある。
山がある 山がある 泣きたくなるような山がある
清い山がある 哀しい山がある
ぽつんと深町がいる ぽつんと深町がある
何も隠さない 何も繕わない

それを借りて表現すれば、
山がある 山がある 泣きたくなるような山がある
清い山がある 太い山がある 記憶を掘り起こす山がある
つい、振返ってしまう山がある。振り向かせる山がある
ぽつんと俺がいる ぽつんと僕がある
…“
僕のフィッツ・ロイは『つい、振返ってしまう山』なのである。

エル・カラファテ行きのバスが出るターミナルへ向かう。
これでエル・チャルテンを出る。結局、たった1泊であった。
ココでも、ふと振り返る。
向こうに見えたのは、聳えていたのは、ドーンとした山だった。
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