「チュニジアとスペイン、アフリカとヨーロッパの次は南米で!」
チャリダーのH君とバルセロナで別れる時に交わした言葉。
何処かで会えると思っていたが、イザとなると予定が合わない。
うーん、どうしたことか。熟慮の末の結論が年末年始のパラグアイ。
彼の走行ペースを考えると、年末アスンシオン到着の予定なのだ。
アスンシオンにはホテル内山田という日系ホテルがある。
バックパッカーが泊まるにしては若干高いがツインなら割安。
何と言っても、和朝食が有名なのだ。
生卵、みそ汁、おしんこ、海苔…他の日本食が食べ放題なのだ。
年末年始くらい少々高いところでのんびりしようではないか。
アスンシオンのこのホテルには、そんな滞在が合っている。
29日にアスンシオンに到着した。BsAsより更に暑い。暑過ぎる。
国境の出入国チェックがかなりテキトーで、気遣い後にこの暑さ。
バスターミナルでパラグアイ通貨・グアラニーを引き出したいが、
ATMが僕のカードを受付けない。荷物を背負い他のATMを探す。
暑さで参っているが、人が優しい。聞けば皆親切に教えてくれる。
2つ目も無効。坂を上り、3つ目のATMでやっと現地通貨を得る。
引き出したお金は高額紙幣。これではバスに乗れない。
スーパーで買い物をして崩そうとすると警備員がやってくる。
何も買わず、一枚の紙幣をレジで細かくして渡してくれる。
バス料金を教えてくれ、更にバス乗り場へ案内してもらう。
48番のバスに乗りたいのだが、バスには沢山の数字がある。……。
傍にいた花火売りのオジサンが僕に言う。「俺がバスを止めてやる」
無事にバスに乗る。デカイ荷物。酷い蒸し暑さ。汗が湧きだす。
運転手に行き先を告げる。それを聞いたオバサンが僕に言う。
「私に着いてきなさい」 暑さに耐えるだけで、ホテル前に着く。
パラグアイ人はかなり優しい、のだ。
何もかもを鼻にカケるアルゼンチン人との差があまりに大きい。
パラグアイが一発で好きになる。でも、余りにも蒸し暑い。ふう。
ホテル内山田に到着。
ここは“ホステル”ではない、正真正銘の“ホテル”である。
日本のビジネスホテルみたいだ。レセプションの女性は日系2世。
日本語が通じて、NHKの他、フジテレビが見れる。
エアコンをガンガン効かせるとやっと汗が止まった。涼しい!
近くのレストランで昼食をとり、部屋に戻りまた出た汗を乾かす。
すると…、大雨だ。
こんな量の水が空中にあったのかと驚くほどの雨が来た。
こりゃどこも行けないや。じっとしていよう。
寝ころんで、まどろんで、テレビCMと民放を見て今日が終わる。
期待していた和朝食。
行く時間が遅くて料理が少なくなっていたけれど、満足できた。
卵かけご飯に海苔を巻いて口に運ぶ。みそ汁をすする。
煮魚に、煮っころがし。煮物は日本の宝だなあと一人で感心する。
熱いお茶を飲み、締めはメロンとスイカ。御馳走様。満腹です。
セントロへ行ってみるか。部屋を、ホテルを出ると灼熱地獄だ。
冷たい水の入ったペットボトルを片手に歩く。ボトルも汗をかく。
……情報どおり何もない。ここが町の、首都の、国の中心なのか?
200万都市らしいが、人々はどこに行ってるのだろう?
それなのに、物価が高い。アルゼンチンより少し安いけど。
雰囲気はボリビアやペルーと変わらないのに。
それにこの町、同じ種類の店が散らばっている。これは珍しい。
一番独特なのは、テレレだ。冷えたマテ茶のことである。
茶葉の入ったグァンバ(コップ)に冷水を注ぎ、ボンビージャで吸う。
濾器が先端に着いたこの金属製ストローで、道端でマテ茶を飲む。
アルゼンチン人も好きだが、パラグアイ人は更に好きなようだ。
ホテルに戻るとH君が到着していた。3大陸目の再会。
ツイツイ立ち話をしてしまう。早々にエアコンの元へ行こう。
スペインで別れてからこれまでの話をするが、語り尽くせない。
先にホテルの書庫へ本を借りに行こうということになる。
彼も伊坂幸太郎好きだった。僕は東野圭吾の『手紙』を選ぶ。
部屋に帰って本を開く。久しぶりの読書。グイッと1人の世界へ。
夕食で訪れたレストランの女の子が凄く可愛かった。
両親ともパラグアイ人らしいが、全然廻りと違う。
色白でショートで、毛先が跳ねていて、1人だけスーツを着る。
間違いなく、パラグアイで会うNO.1だろうなと思う女の子が、
僕らの方へ“笑み顔”と“つま先コマタ走り”で駆けてくる。
今日は12月31日。大晦日。
朝起きてテレビをつけると紅白歌合戦が始まっていた。
ココと日本は12時間の時差があるから、朝7時に始まってるのだ。
とはいえ、ブラジル時間の夜7時から再放送されるから、
同タイムゾーンのパラグアイも現地時間で年越紅白視聴が可能だ。
ま、今は見なくていいか。早く行かないと朝飯なくなってくるし。
今日もたくさん食べる。腹が膨れる。また喰い過ぎた。
モソモソしていると、ゆったりだがあっという間に時間が過ぎて行く。
テレビは紅白歌合戦。僕ら2人が交わす言葉は「誰、アレ?」。
H君は僕以上に疎くなっている。そりゃ日本出て2年以上だしな。
よし、日本時間の年越しだ。昼間からビールで年越しを乾杯!
今日はこれといって何もしない。小説も面白くなってきたし。
年末年始休まない中華料理屋で夕食。さて、また紅白を見よう。
うーん、やっぱり森進一は凄い。あの、紅白ダイジェスト。
1人だけ何言ってるのかわからない。ロックやパンク以上だ。
日本の年越しと変わらない感じ。けれど、クーラーが唸っている。
クリスマスもそうだったが、寒くないと年末年始って気がしない。
正月三箇日。朝は和定食を食べ、昼はパン等を摘み、夕食は中華。
『手紙』を読み終えたから、石田衣良の『LAST』を開く。
食べて、寝て、読んで。1月2日にして日付がわからなくなる。
日本と12時間違うのも原因だ。テレビ上の時計はそのままなのだ。
フジテレビで『ライアー・ゲーム』や『Boss』の再放送を見る。
昼の連続放送のはずだが、僕らにとっては深夜なのだ。眠れん。
3日目にしてプールで泳ぐことにした。15m程のプール。
端から端まで潜水。久しぶりでもできるもんだ。プカプカ浮く。
夕食はいつもの中華屋。毎日来ているからか、春巻のサービス。
1月4日、アスンシオンを出発。
毎日飲んでいたビールの空き瓶を返し、H君とも一旦お別れ。
エンカルナシオンまで7時間。バスは…もちろん冷房なし。
途中、気を失いそうになった。暑さで、だ。体が鈍ってる。
エンカルナシオンは…、アスンシオンより更に暑い気がする。
バスターミナル前の安宿は日系2世のアキコさんが営む宿。
クーラーはもちろんない。なかなか夜は辛かった。
朝起きれず滞在を1日延長。ブラジルビザは無事取得。
朝7時、チェックアウト。荷物を持って向かうはトリニダー遺跡。
パラグアイ唯一の世界遺産といわれる遺跡だ。
遺跡は道路から約700m離れている。遺跡まで荷物を担いで行く。
比較的新しい遺跡らしく、装飾はかなりはっきりとしていて美しい。
周囲の自然もなかなかいい。ま、パラグアイはどこもそうだけど。
今年初の観光だ。旅の再スタートだ。




今年も明るく、楽しく、前向きに旅して行くぞ!
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